残存歯数と死亡率に関係がある?vol.2
こんにちは!
今回は、前回の続きということで
「残存歯数と死亡率に関係がある?vol.2」のおはなしです。
vol.1では、
歯周病を中心とした口腔内の慢性炎症が歯の喪失の原因となると同時に、
低レベルの菌血症(血液中に細菌が存在していること)引き起こして、
心血管系疾患や代謝障害につながることで死亡リスクを高めてしまう可能性もある、というところまでお話をしました。
今回は
「機能歯数維持の重要性」についてのお話をしていきます。
そもそも「機能歯数」って何?と思う方もいらっしゃると思います。
機能歯数とは
残存歯数に加えて、欠損した部分の補綴物など(義歯やインプラント等)によって
機能回復治療された歯を合計した歯の本数のことをいいます。
近年、高齢者の歯の残存数は増加傾向にあり、
80歳の方では平均14本の歯が残存しているといいます。
一方で、65歳以上の日本人2万人を対象とした調査では、
残った歯が少ない人ほど寿命が短くなっている、ということが明らかとなりました。
歯が20本以上ある方に比べて、
10〜19本の方で、1.3倍
0〜9本の方で、1.7倍
死亡率が上昇したことも明らかとなっています。
また、別の研究では機能歯数が少ない人は多い人に比べ、死亡率が高くなることがわかっており、
40歳以上で機能歯数が10本以上の人は、10本以下の人に比べて
生存率が、男性で約2倍・女性で約1.5倍高くなるといった報告もあるのです。
つまり
歯を失ってしまっても、しっかりと対策を講じることが大切だということがわかると思います。
日々、歯のケアを行い、定期的に歯科を受診し
残存歯だけでなく、歯を失ってしまっても義歯等で機能歯数を維持していくことが大切です。
ちなみに、、、
義歯が合っていない方や、歯を失ってしまってもそのままにしている方は
「タンパク質、カルシウム、ビタミン類、食物繊維など、種々の栄養摂取量が有意に低かった」
というデータも存在しています!
歯を失ってしまったり、義歯を作っても、そのままではなく管理・維持をしていき、
「しっかりと噛めている」と自覚できている
といった
「高い主観的咀嚼力」が
寿命の延伸に対して重要な因子なんです。
最後に
私が読んだ資料の中に
「機能歯数を維持することは、全身疾患を予防することに勝るとも劣らない」
といった文言がありました。
近年の研究にて、お口(歯)の状態は全身に影響していることが明らかとなっています。
上記の言葉はまさにその通りだなと感じました。
毎日必ず使う歯だからこそ、
日々のケアや、予防、トラブルがあった際の治療など
“命に直結している重要な部分である”
という意識を持っておくことも必要なのかもしれません。