むし歯治療
お子さまから高齢者まで、幅広い年齢層で真っ先にお口のトラブルで挙げられるのがむし歯です。早期発見・早期治療が最も大切であり、治療が遅れると抜歯に至ることもあります。そうならないよう定期健診を受けましょう。
むし歯とは
むし歯の原因はお口の中に存在するむし歯菌です。口の中に残った食べかすに菌が繁殖し、歯に穴をあけていくことでむし歯が徐々に大きくなっていきます。初期段階では痛みもなく気付きにくいです。経過観察だけで済む場合もありますのでお早めにご相談ください。
むし歯治療で当院が心掛けていること
当院では定期的な画像診断により、口腔内の状態管理に力を入れています。些細な変化も見逃すことがないようチェックを行い、悪化する前の早期発見・早期治療を心がけています。基本的にできる限り「歯を削らない・抜かない」「神経を抜かない」治療を心がけており、歯を残すことを第一に考えた治療を行っています。治療に使用する薬剤は日々新しいデータを取得し、安全性・効果が高く、国が認可している薬剤のみ使用しております。また、ご自宅でのケアもむし歯予防には非常に重要なため、各患者さまの口腔内に合わせたブラッシング指導などケア方法をお伝えしています。
むし歯の進行と治療
むし歯には以下のような進行段階において、その状況や治療法がおおむね決められています。
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1C0=初期のむし歯
ごく初期のむし歯で、症状としては表面のエナメル質がわずかに白濁している程度。痛みはもちろんなく、穴もないので具体的な治療はほとんど行いません。要経過観察で、歯みがきの徹底を指導したり、歯ぐきのマッサージをおすすめしています。
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2C1=エナメル質のむし歯
歯の表面のエナメル質がむし歯により溶かされた状態。わずかに穴があいているものの、痛みはありません。まだこの段階では、歯を削ることがデメリットとなる可能性があるため、切削処置は行わず、経過観察で見守ります。ただし、状況によっては、できるだけ最小の範囲のみ削り、歯科用プラスチックの詰め物をすることもあります。
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3C2=象牙質のむし歯
エナメル質の内部にある象牙質にまで穴があいた状態。冷たいもの、甘いものを口にするとしみたり、患部を触ると痛みを感じることがあります。神経には達していませんが、麻酔をかけて治療します。むし歯の患部を削り、プラスチックの詰め物をするか、銀やセラミックなどの素材でかぶせ物をする処置を行います。
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4C3=神経まで侵食したむし歯
むし歯の患部が神経にまで達したむし歯。この段階では炎症を起こしていることが多いため、痛みや腫れがひどくなり、膿が出ることも。すでに歯の大部分は溶けているので、根管治療で神経の治療を施すか、それが難しい場合には神経を除去します。
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5C4=歯根だけが残った場合
歯の大部分は溶けてなくなってしまい、根だけが残っている状態。神経が死んでいる場合は痛みなども感じません。根管治療か抜歯をすることになります。
歯周病治療
歯周病は、お口の中で繁殖する歯周病菌によって引き起こされます。歯みがきがしっかりできていないと歯石が溜まり、歯石は歯周病菌の棲み家となります。そこから歯を支える歯ぐきを冒し始め、最後にはその下の骨にまで疾患が広がって歯を失うこともある病気です。日本では35歳以上の成人の80%以上がかかっているとされ、国民病と言われています。
歯周病のサイン
テレビCMでもよく放映されていますが、歯周病は最初は気づきにくい点が要注意です。
以下のような症状が歯周病の前段階(歯肉炎)の自覚症状のサインなので、心当たりがありましたら定期検診などの際にご相談ください。
- 歯みがきの際、歯ぐきから血が出る
- 朝、口の中がネバついている
- 口臭が気になる
- 歯ぐきをよく見ると赤く腫れている
- 歯ぐきと歯の境目が下がってきた など
歯周病における炎症のコントロールと力のコントロール
歯周病菌の巣窟である歯石が原因となり、歯肉炎を起こしたことから進行していくのが歯周病です。これは炎症のコントロールができないことによるトラブルです。
さらに、歯ぎしりや食いしばりなどの習慣のある患者さまは、外力が加わることで歯周組織やその下の骨に負荷がかかり、さらに歯周病が悪化するというケースがあります。これが力のコントロールの喪失による歯周病です。お口全体というより、むし歯でもないのに歯が1本だけグラグラしたり、本来の噛み合わせ以外のところが削れる場合、このケースが考えられます。
お口のトラブルの大半は、こうした炎症と力のそれぞれのコントロールのバランスが崩れることにより引き起こされます。歯周病菌がお口で繁殖しているとその両方がアンバランスになり、歯周病は悪化の一途を辿ります。炎症と力の両方のコントロールについて治療のアプローチが必要となります。炎症はセルフケアや定期検診である程度改善が見込めますが、力のほうは、常日頃からの状態や噛み合わせのチェック、そしてその治療という対策を講じます。
注目される歯周病と医科の病気との関連
さらに歯周病が単なるお口の病気以上に怖いのは、全身疾患と密接な関わりがあることです。たとえば糖尿病・心筋梗塞・脳梗塞・誤嚥性肺炎・早産・アルツハイマー病など、多くの深刻な疾患に歯周病菌が関わっていると近年証明され、リスクは甚大です。そういったリスクをできるだけ軽減できるよう早期発見・早期治療を行いましょう。
歯周病治療の流れ
初診の方には、以下のような流れで診療を行います。
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1予約
ご来院の際にはお電話にてご予約をお願いします。
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2歯周病チェック
一般的な項目の予診に加え、「歯周病チェック」(6点法または1点法で歯周ポケットの深さなどを調べる)を実施します。必要があればレントゲンなどの検査も行います。
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3状況説明
検査や問診などから、原因、現状、治療方針などの説明を行います。
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4治療・クリーニング
その後、治療へ進む場合と状況や希望に応じてクリーニング実施の場合があります。
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5通院
初診後は、基本的に3カ月に1回の定期検診(メンテナンス)に通っていただきます。また、歯周病が重症の場合は専門の治療を行います。
非歯原性歯痛
聞き慣れない言葉ですが、「非歯原性歯痛」はれっきとした病気です。ただし、歯が痛いと感じるのに、「歯に原因や異常はない」、あるいは「原因不明」という少々謎めいた疾患です。症状に応じて治療法があり、それぞれ検査して治療を行うことが推奨されますが、ここで大事なポイントは、誤診により歯を削ったりしないことです。
非歯原性歯痛の疾患の例
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咀嚼筋の筋肉・筋膜痛→臼歯部の持続的な鈍痛
症状:患者さまは歯に鈍い痛みが生じていると感じるが、どの歯と言いづらい。実際に歯を触っても痛みはなく、レントゲンを撮っても、むし歯などはない。咀嚼筋に圧痛あり。
原因:慢性的な筋肉の負担、筋肉疲労。
治療:疼痛発生源の筋を圧迫し、さらに局所麻酔を打つ。 -
歯科治療後や帯状疱疹による痛み→持続的な神経障害性疼痛
症状:突然に、または歯の治療後に、一日中歯に痛みを感じて眠れない。どの歯か特定できる。
原因:抜歯などの歯科治療の刺激により、または帯状疱疹の発症による神経障害。
治療:帯状疱疹が発病している最中に突然発症するものは、検査後に投薬で治療。
このほか、かぜをひいたときに鼻づまりの症状を伴う上顎の歯の痛みを感じたり、狭心症などの心臓疾患の前兆として漠然とした鈍痛が下顎に走ったりするほか、うつ病やストレスなど精神疾患により発症する痛みなど、複数の原因、症状の可能性がある。
当院の対処法
患者さまにとって大切なのは、歯や顎などが痛くて通院した歯科医院の歯科医が、その痛みに対して、歯原性の歯痛なのか、非歯原性歯痛なのかという明確な診断を下し、適切な処置を行うことです。原因不明のまま歯を切削する、痛みを不定愁訴として片付けるなどのあいまいな診療はもちろん避けなければなりません。そこで当院では、非歯原性歯痛が疑われるケースでは以下のような診療を行います。
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STEP1
病名特定とその根拠を得るために、レントゲン検査を行い、歯や顎の骨に異常がないことを確認して、歯への影響要因を除外していきます。その後、顔面の筋肉に触診を行い、食いしばりなどがないかチェック。ほかに、診断上必要となることを問診するなど。
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STEP2
検査を経て思い当たる原因や要素が普段の生活の中にある場合、とくに筋膜歯痛では、経過観察のほか、生活改善を提案・指導すると快方に向かうケースもあります。具体的には筋肉を使わないようにする、安静を保つ、食事は柔らかいものにする、筋力を軽減するマウスピースを装着するなどです。それでも痛みがあるときには、投薬などの処置を行います。筋膜歯痛以外でも、歯痛の原因が特定できたら、それぞれのケースに応じた治療を行います。
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STEP3
この非歯原性歯痛の疾患には、まずその痛みの原因が歯そのものにあるかどうかを識別し、それ以外のものだと診断した後には、患者さまとこの疾患に治療経験のある歯科医がじっくりと向き合って治療を進めることが肝要です。当院では、非歯原性歯痛治療に関する多くの経験や知識の蓄積がありますので、この病気を疑う際には、安心して治療をおまかせください。