歯周ポケットと歯の喪失の関係
こんにちは。
今回は歯周ポケットと将来の歯の喪失の関係のお話です。
歯周ポケットとは、歯周病の中の症状の一つで、歯と歯ぐきの間にできる「すき間」のことをいいます。
通常、いわゆる「健康的な歯ぐき」の場合、
歯周ポケットは「ほとんどない」かあった場合でも「とても浅い」状態です。
しかし、歯周病が進行してくると、この歯ぐきのすき間が少しずつ深くなっていきます。
この歯と歯ぐきのすき間は「ズボンのポケット」のようなもの。
ズボンのポケットは、そのままにしておくと、ホコリや砂、ゴミなどが溜まっていってしまいます。
歯ぐきにも深いポケットがあると、そこに汚れや細菌が溜まってしまい、
歯ぐきが炎症を起こしてしまいます。
歯ぐきの炎症が進行していくと、ポケットも深くなっていき、歯周病菌が中に入ってしまいます。
歯周病菌が中に入ってしまうことで、歯を支える骨(歯槽骨)を破壊していくようになります。
これを骨吸収といい、歯を失ってしまうリスクが大きくなってしまいます。
近年では、この歯周ポケットと10年後の歯の喪失の関係が、研究によって明らかとなっています。
スウェーデンの研究では、11年間の追跡にて
ポケットが5mmだと7.7倍、6mmだと11.0倍、7mmだと64.2倍
歯の喪失率が高いというデータがあります。
日本の70歳以上の方の、10年間の追跡においても、上記のようなデータがあります。
別の研究では、歯周ポケットが深い人ほど、
10年後に3本以上歯を喪失するリスクが高くなる、といったデータもあります。
また、タバコを吸う人は吸わない人に比べて
症状が進行しやすく、10年後の喪失リスクが増加するといった報告もあります。
喫煙は歯周病治療においても
・歯周病発症が2~8倍
・歯周病の発見が遅れてしまう(喫煙による血管収縮のため、出血や炎症がおこりにくくなるため)
・治療効果が薄れてしまう
など、多くのリスクが伴います。
これらのことから、
深い歯周ポケットは10年後の歯の喪失リスクを有意に上昇させ、
歯周ポケットの深さは、歯の未来を予測する重要な指標であることがわかります。
では、深くなった歯周ポケットはどのようにして改善していくのでしょうか。
4mm以上の深いポケットがある場合、
日々のケアはもちろん、歯科においてのメンテナンス(1〜3ヶ月が目安)や治療が重要です。
また、歯周病においてとても大切なことは、
「定期的にお口の中や歯の周りの組織のチェックを受ける」ということです。
歯周病は再発しやすい病気です。場合によっては再度治療が必要になってくることもあります。
歯医者さんで適切な期間でメンテナンスを行うことで、
歯周病をコントロールし、お口の健康を保っていきましょう。